七ツ釜五段の滝(ななつがまごだんのたき) 段瀑50m 山梨県山梨市三富川浦 2001年4月27日、2001年5月31日 日本の滝100選掲載順カウントアップ20/100

櫻井公太の古き良き時代~語り部編~青春のエスペランサ

今日はお前達に。。俺の昔話を聞かせてやろうか。。

そう。。あれは21世紀が始まってまもない最初の春だったよな。。

毎日が同じ事の繰り返しで飽々していた俺は。。

何か新しい切っ掛けを求めていたのさ。。

切っ掛けは何だって良かったんだよ。。

この出口の見えない退屈な毎日を終わらせる為ならな。。

世知辛い世の中での毎日に疲れ果てて。。明日は休みだと言うのに。。

何も考えられずに部屋を見つめて溜め息を吐くばかりの俺。。

ただただ眠りに就くしかない。。憐れなもんさ。。

その時床に。。誰が買ったかも分からないマップルが落ちていやがったのさ。。

俺はここに載っていた「西沢渓谷」に心を奪われちまった。。

この渓谷の美しい青さが汚れきった俺の心の何かを目覚めさせたんだろうな。。

そう。。遥か昔の話だが。。切っ掛けなんてそんなもんなんだよな。。

(注)

「西沢渓谷」 は秩父多摩甲斐国立公園内に位置する、山梨県と長野県の県境にある国師ヶ岳を源流とし、笛吹川の支流となる西沢にある清流が巨大な花崗岩を削って流れる見事な景観が観られるV字谷です。

渓谷沿いの遊歩道からは「七ツ釜五段の滝」を代表に大小さまざまな美しい滝や淵が観られます。

時間は夜中の3時。。まだ間に合う時間だ。。

俺は想い立ってベットから飛び起きて、見えない何かに向かって走り出そうとしたのさ。。

明日なんか無くったっていい。。

そして俺はまだ暗い中、その見えない何かに向かって玄関の扉を開けたのさ。。

まるで人生の片道キップを手に入れた気分だったよ。。

お前達にも。。そんな時ってなかったかい?

汚れを知らない。。そんな美しくも幼かった時代が。。

そして俺は無我夢中で走ったんだ。。

おんぼろの車に乗って真っ暗な甲州街道を「西沢渓谷」の在る山に向かってな。。

明け方前の甲府盆地は夜景が綺麗だった。。

今でもその風景が目に焼き付いてるよ。。

怖いものなんて何一つ無かったのさ。。

(注)

西沢渓谷は山梨県の甲武信ヶ岳や鶏冠山の麓に位置し中央自動車道勝沼ICから国道140号経由約29kmになります。

西沢大橋下の(西沢渓谷)の入口になるバスロータリー横に市営無料駐車場60台が有ります。

近隣には道の駅みとみや、食事処かりさか等の施設があり、その隣には市営の無料駐車場1,000台以上分があります。

何だかここまでアッと言う間だったな。。

無我夢中だったんだよ。。

気付いたら着いちまってた。。

(アッハッハッハッ。。)

何だかそんな自分に笑っちまったよ。

見上げると真っ青な青い空だ!

俺は歩き始めたんだ。。

まだ観た事の無い世界に向かってな。。

なんだか最初はつまらない砂利の車道みたいな道だったな。。

20分くらいトコトコトコトコ歩いたんだよ。。

そしたらなんだか観た事もない緑の色をした川が観えてきやがってよ。

たかぶる気持ちを抑えて足早に歩いてやったもんだよ。。

(ヒャッホーッ)

先へ進むぜ!

(注)

西沢渓谷のハイキングコースは約10km、高低差約300m前後有り、約4時間の歩行時間となります。

入口バス停から最初は約1kmの林道歩きとなります。

ハアハアハア。。

やっと「西沢渓谷」の入口に着けたぜ。。

ちくしょう。。身体がなまってやがった。。

改めて自分のちっぽけさに打ちのめされた気分だせ。。

でもこのままじゃ終われねぇ。。

このままじゃただの負け犬になっちまう。。

俺は何もかも捨てて歩き続けたんだ。。

(注)

笛吹川沿いとなる林道を約1kmを歩いた先にヌク沢広場と言うインフォメーションセンターが在ります。

手前でなれい沢を渡り「なれいの滝」が観られます。

西沢渓谷のハイキングコースはここから右側の林道方面へ進み反時計回りに一周して帰ってくるコースとなります。

ここからが本格的なハイキングコースって感じだよな。。

身が引き締まる想いだったぜ。。

橋を渡ったり通行止めの道が有りやがったけど。。まだまだ最初は楽なもんだったかな。。

なんだか木の匂いが幼かった頃に父に連れられていった高尾山の事を想い出させたもんだったよ。。

おっと。。こんな所で感傷に浸ってちゃいけねぇ。。

進まなくっちゃな。。

(注)

インフォメーションセンターを過ぎるとまだ暫くなだらかな道が続いた後、甲武信ヶ岳への分岐、 西沢山荘、笛吹川を渡る二俣吊橋などを過ぎ、西沢渓谷の大看板や立入禁止の東沢渓谷の入口などが有ります。

進んでいくと。。おっ最初の滝のお出ましだ!

しかしチョロチョロ流れていやがる。。

まだまだ序の口って感じかな。。

小手調べにはちょうど良いって感じさ。。

今想えばおとぎ話のような時間の始まりだったんだよ。。

大人になって忘れちまった大切な何かを想い出した場所だったんだよな。。

(注)

支流から西沢に落ちる「大久保の滝 」30mになります。

こちら辺りからは急な階段や其れなりの道になります。

ここら辺りから急な階段になりやがる。。

でも俺にはもう怯むものなんて何にもなかったんだよ。。

もう遠い遠い昔の事だけどな。。

(注)

西沢渓谷は階段などは整備されていますので問題ないかと想われますが、鎖場や芦葉の悪い場所も有りますのでハイキング程度の服装や靴で訪れましょう。

俺は進む。。何があってもやり抜くんだ。。

やり遂げなくっちゃいけない時って有るんだよ!

ズンズンズズン。。

(注)

「大久保の滝」の先は急勾配の階段を登っていきます。

暫く進むと降りになり三重の滝が観えてきます。

やっと辿り着けたぜ。。

観たかった景色にな。。

回りには誰もいねぇ。。

まるで渓谷が俺だけを待っていたみたいだせ。。

白い花崗岩の川床を流れる澄んだ水から涼しい風が。。彼の身体を通り抜けていった。。

(注)

「三重の滝」3段10mとなります。

観瀑台が設けられ、深く大きな釜や淵を豊富な清流が流れ落ちる景観を間近で眺められます。

下流は狭窄した岩間を魚留め滝に向かう流れが観られます。

ツルッ。。

おっ!?しゃらくせー!!

あなどっちゃイケねぇ。。

なかなか危ない道だぜ。。

気を付けなくっちゃな。。

おっ!?

前に人がいやがる。。

(おーい!)

想わず声をかけちまったよ。。

こんな所で巡り会うと何だか嬉しくなっちまう。

人と人との繋がりって大事だよな。。

お前たちもそう想わないかい?

(注)

三重の滝から先は沢沿いを歩く事になります。

途中は水流ギリギリを通る場所や鎖が設置している場所も有りますので注意しましょう。

途中にフグ岩、ウナギ床、人面洞などの見処も在ります。

なんだか旅人のおっちゃんと話せて嬉しかったぜ。。

別れを告げて進んでったらこいつはまたすげぇや!!

でっかい穴みてえなのからドボドボ水が落ちていやがる。。

自然の力ってすげぇもんだよな。。

俺は心が揺さぶられたってもんさ。。

(注)

こちらは「貞水の滝」です。

5mくらいで美しい釜を落ちています。

その前に「恋糸の滝」なる支流から流れ落ちる滝が観られます。

おっ!

ちょうどいい休憩場所が有ったもんだ!!

よっこらせっと。。

ここらで一休みしていくか。。

ここも綺麗じゃねーか。。

なんだかクヨクヨしてた自分が馬鹿らしくなって来たぜ!

(注)

美しい渓谷美が随所に観られるかと想われます。

さぁ立ち上がってまた進まなくっちゃな。。

まだまだ行くぜ。。

こいつは先が楽しみだ。。

こんな気持ちになったのは生まれて初めてかも知れねぇな。。

おっ!?

あんなところに野鳥が飛んでいやがる。。

俺もあんな風に、空を自由に飛んでみてえよな。。

(注)

「貞水の滝」から先には母胎淵、ガエル岩などの見処が在ります。

よっこらせっと。。

なんだか子供に返ったみてえにはしゃぎ過ぎちまった。。

ここからの景色も捨てたもんじゃねーな。。

川の流れが涼しいぜ。。

そうだそうだ。。

ここらで少し飯にでもありつこうか。。

ちゃんとコンビニでパンとジュースは買ってきてんだよ。。

俺はそこまで馬鹿じゃねーさ。。

急ごうとするのは悪い癖だ。

まだ日が暮れる迄は時間がたっぷりある。。

汚れちまった哀しみに。。なすところもなく日は暮れる。。

そうなるまで。。今ゆっくりとこの美しい世界を楽しもうじゃねーか!

そして俺は渓谷を観おろす岩の上から大声で叫んでやったのさ!!

(バカヤローっ!!)

ってな。。

心の中に燻っていたモヤモヤが全部いっぺんに消し飛んじまったよ。。

何もかも生まれ変わった気分だぜ。。

さようなら。。昨日までの馬鹿みたいだった自分。。

そして初めまして。。今日からの新しいく生まれ変わった自分。。

なみだ君さようなら。。

君がくれた勇気は億千万。。

さあて。。また歩き出すか。。

keep waking !!

歩き続けるのさ。。

おっおっ!?

なんだかすげぇ音がしてきやがった!!

こいつが100選とかに選ばれてやがる七ツ釜なんとかか!?

なんだかゾクゾクしてくるぜっ!!

(注)

方丈橋となります。

橋からは「七つ釜五段の滝」の下流が伺えます。

そして俺は七つ釜何とかを観降ろす丘の上に立ったのさ。。

今でもたまに想いだす。。あの丘の上をな。。

この時に俺の心は完全にノックアウトされちまった。。

(注)

西沢渓谷を代表する「七ツ釜五段の滝 」になります。

日本の滝100選に選ばれ花崗閃緑岩の釜を5段になって落ちる公称落差50mの滝となります。

この時の俺はもう大はしゃぎさっ!!

お前達にも分かるかい?

この美しい世界が!

清らかな水の流れが!

生い茂る瑞々しい緑が!

向こうには渡ってきた橋が観えるよな。。

そんな景色を眺めながら。。俺は滝の上へと続く道を進んでいったのさ。。

(注)
「七ツ釜五段の滝 」は最下段が最も落差も有り釜も大きく、全体は1度に観れませんが、滝を巻くようにコースを登って行き全段を観賞します。。

そうしたら観ろよーっ!!

なんだかポコポコした穴が段々になってて水が流れてやがってよ!!

これがまたたまらねぇんだよ!!

お前達にも観せてやりたかったぜっ!!

お前達も想い出してみろよ!!

何もかもが輝いて観えたあの頃の事およぉ!!

(注)

「七ツ釜五段の滝 」を紹介する場合は上段の釜が連続するこちらの景観が大半となります。

イケねぇイケねぇ。。

またついついはしゃいじまった。。

この時もまた一休みしてな。。

なんだか持ってきたコンデジじゃあいまいちかなと想ってな。。

さっそく帰ったらNikonの一眼レフのD70を手に入れちまったんだよ。。

そう言えばこの時からだったよなぁ。。

想い出しちまったよ。。

懐かしいもんさ。。

この後は最後の登りがキツくってな。。

必死に汗まみれになって登ったもんだったよ。。

こんなに熱い汗なんて流した事が無かったぜ。。

総てが洗い流されるような気分だったよな。。

渓谷はまだ観ぬ先へと続いてたよ。。

人間が知ってる事なんてこの世界のほんのちっぽけなもんだってもんさ!!

俺はその時そう想ったもんだよ。。

(注)

「七ツ釜五段の滝 」の上流に観える「不動の滝」になります。

コースはここから「西沢渓谷」から離れて行き急登となり遊歩道終点まで向かいます。

周遊コース全体でここが最もキツい箇所となるかと想われます。

ふぃーっ。。

やっとこさ急な道を登り終えた俺は「西沢渓谷」の遊歩道終点を知らせる道標に背をかけて一休みさ。。

この時息を切らせながら俺は想ったんだ。。

俺にだって出来るんだ。。

未来は決してつまらなくなんかないってな。。

俺は生きてるって事を実感したんだよ。。

お前達はどうなんだよ?

大人の世界にはまって忘れちまったのかよ!?

そんな事ねーだろ!!

あの遠い夏の日に息を切らせて夢中で追いかけた赤トンボ!!

あの輝いていた瞳は何処へいったんだよ!?

くよくよしてないで走り出そうぜ!!

(注)

西沢渓谷遊歩道終点にはトイレと休憩所となるベンチなどが有ります。

ここからは帰路となり西沢森林軌道跡を西沢渓谷入口に向かい進みます。

いけねぇいけねぇ。。

がらにもなく熱くなっちまった。。

しかしまだまだ終わりじゃなかったんだよな。。

来たからには帰らなくっちゃ。。

始まりが有れば終わりが有る。。

何だってそうだろう?

永遠じゃ無いから美しいってもんさ。。

帰る道にはでっかい橋が架かっていたよ。。

でっかいでっかい橋がな。。

観降ろした景色は美しいけど時は待ってはくれない。。急がないとな。。

(注)

西沢森林軌道跡に沢山架かる橋の1つさわくるみ橋になります。

森林の中を歩きますが所々から雄壮な山並などが観られます。

なんだか帰りの道はレールの跡を降りて行く感じだったんだよなぁ。。

まるでこれから果てしなく続いて行く俺の人生みたいだったよ。。

片側は崖が迫ってやがって一歩間違えたら命はねえと言う感じさ。。

正に俺の人生そのものなんだよな。。

そうだ。。急がないで一歩一歩しっかりと進んで行こう。。

急がなくったっていい。。

まだ見ぬ明日に向かって俺は一歩一歩確実に歩き始めるんだよな。。

そんな事をこの道に教えられた気分だったよ。。

(注)
西沢森林軌道跡とは昭和8年から昭和43年まで、西沢渓谷や東沢渓谷周辺から切り出された木材の運搬用として利用されたトロッコ跡で、コース上の所々にレールが埋りつつ観られます。

景観はあまり良くはなく、緩やかな降りが続き沢山の橋が架かっています。。

そうしたら最後にこの山の神様に会えたんだ。。

俺は感謝したさ。。

今日と言う日を俺に与えてくれてありがとうってな。。

こん時は嬉しくて賽銭箱に50円もの大金を投げ入れちまったよ!

後にも先にもこんな大金を賽銭箱に投げ入れた事は無かったよなあ。。

(注)

鶏冠山等が観渡せる展望台等を過て歩いていくと、大嶽山那賀都神社の奥の院である山の神神社となります。

神社から少しで分岐となり、ねとり橋を渡るとヌク沢広場に合流し、西沢渓谷入口まで来た道を帰ります。

そしてまた人生は続いて行く。。

喜びも哀しみも。。総てを想い出に変えてな。。

そしてこの日が有るから俺は今も歩き続けている。。

終わりの無い。。けっして観える事の無い終着駅に向かってな。。

まあ話はこんなところさ。。

お前達。。今日は俺のつまらない昔話に付き合ってくれて本当にありがとうな。。

またいつの日か巡り会う事があったら俺のつまらない話に付き合ってくれよ。。

じゃあな。。お前達。。

感謝してるぜ!

そして今でも俺は燃え尽きる事の無い青春の真っ只中さ!

お前達の幸せと輝ける未来を祈ってる!

アディオス アスタレーゴ!!

最後に。。

この「七ツ釜五段の滝 」に関しましては、確かに最初に滝巡りをしようと志す切っ掛けになった滝だと想います。

それまでも滝って良いなと薄々想っていたのですが、なにかこの「七ツ釜五段の滝 」を伴う西沢渓谷に訪れて、その気持ちが確固たるものに成ったと想えます。

この渓谷の「七ツ釜五段の滝 」が100選に入っているとかは来た時に初めて知って、西沢渓谷に訪れると言う気持ちで来たのですけれどね。。

「七ツ釜五段の滝 」も特徴的な花崗岩の釜を落ちる滝で、其れなりに100選滝に選ばれても良い滝と想いますが、それ以上にここは遊歩道を伴う西沢渓谷全般が、良い渓谷であると想えるところであります。。

考えればこの遊歩道は渓流を身近に触れながらクライマックスの「七ツ釜五段の滝 」に向かい、帰りに廃線跡を下ってくると言う、周遊的な日帰りコースとしては最適なコースと想えたりします。。

僕はこの西沢渓谷を訪れ、白い花崗岩を流れ落ちる豊富な緑色をした清流を、時に飛沫がかかったりしながら、鎖に捕まったり岩を登ったりして、実際に渓谷に触れている感触をもって進み、とても楽しいと想えたのです。。

そしてこの時に「 七ツ釜五段の滝 」が日本の滝100選に入っていた為にそれを知り、100選を巡ろうと言う気になったのでした。。

そうした事で、この西沢渓谷が滝巡りの実質的なスタートとなりまして、偶然にも僕にとっては特別な場所に成ったと言う事になりますね。。

しかし述懐すると「七ツ釜五段の滝 」の滝を訪れるには往復で4時間くらいかかりますので、ちょうど良い日帰りハイキングコースと想えますが 、100選滝の中では労力がいる方なんでしょうね。。

やはり100選滝は手軽な観光滝が中心ですからね。。

そして西沢渓谷に関しましては、僕としては神奈川の厚木市や相模原市が生活圏ですので、場所的には日帰りで行く場所と言う距離ですね。

そう考えますと神奈川県でも中央道、東名高速、関越道などにアプローチしやすい場所に住んでいて良かったとも想えます。。

ですから余りこの界隈には宿泊した事が少ないのですが、裂石温泉には泊まった事が有りましたね。。

まあ。。石和温泉のような市街地の温泉よりも人里離れたら温泉が僕はやっぱり良いかと想えますので。。

とりあえず西沢渓谷は、変化の有る楽しいハイキングをするには絶好の場所だと想いますので、そのような方にはお勧めと言う事で終わりたいと想います。。

山梨県山梨市三富川浦

市営無料駐車場入口近隣 60台
道の駅みとみ近隣1000台超

問い合わせ 0553-22-1111 山梨市観光商工課
12月1日~4月28日は冬期閉鎖